享保九年（1724年）【江戸時代】

図書館資料-近藤徹写真コレクション

　この塔は、川尻北の谷の府道から少し入ったところ、不動明王板碑と並んで建っている。地元では「大峯供養塔」と呼ばれている。

　塔は相輪上半を失ってはいるが、現存高は173cm、切石二段の上に反花座・請座を重ねた上に建てられている。塔身には月輪の中に金剛界四仏の梵字を入れる。軒は二段、笠の隅飾りは二弧である。塔基礎の三面には刻文が刻まれている。

　塔の形態では、笠の隅飾りは外側に開くが、大きく四方に開ききるものでもない。また、全体は細身ではあるが、高代寺の宝篋印塔に見られるような江戸時代の典型的な細身の形態とはやや異なっている。中世と近世の過渡期的な形態をもつものとも言える。

　この塔は刻まれた刻文から宝篋印陀羅尼経を塔内に安置したもので、宝篋印塔のもつ本来の目的のために造立されたものである。

　この塔の近くの法輪寺には南北朝時代の宝篋印塔が数基あり、その一つに「大尼女」の銘がある。その大氏と、この塔の大岡氏とは何らかの関連が想定される。

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